
任意二周波数注入同期レーザーを用いたコヒーレントフォノン高密度励起とテラヘルツ波発生【桂川研究室との共同研究】
(a)任意二周波数注入同期レーザー。(b)水晶(SiO₂結晶)の466cm⁻¹振動モードの高密度コヒーレントフォノン生成による高次ラマンサイドバンドの発生。

周波数の差が、物質の固有の格子振動(量子力学ではフォノンとよぶ)の周波数と等しい、2つの光を入射すると誘導ラマン散乱が起こり、位相が揃った大振幅の格子振動(コヒーレントフォノン)が生成されます。これにより物質中の格子ダイナミクスを調べることができます。コヒーレントフォノンを従来よりも選択的に高密度に励起できれば物性研究で有用なだけでなく、これまでにはない物理現象も期待されます。
この為に狭線幅(~30MHz)、高強度(~1MW)な2周波数を同時に発振するレーザーを開発し、水晶(SiO₂結晶)の高密度なコヒーレントフォノンを生成しました。またこの光源を用いて波長30µm-3mmのテラヘルツ波発生の研究も行っています。
(Optics Express, 18, 26409 (2011).)
Rayleigh-Mie散乱を利用した強誘電的微小領域形成の研究
強誘電体SrTi18O3(STO18)中の微小ドメイン形成のモデル図 (b)STO18の透過光スポットの温度変化(c)極性を持った微小領域による分極の成長方位に関する計算結果とそれがモチーフになった論文誌EPLのハイライト特集の表紙

一部の強誘電体中には常誘電相から局所的に分極を持った微小領域が存在するものがあります。このような強誘電的微小領域の成長が強誘電相転移において重要だと考えられますが、詳細はよくわかっていません。そこで通常の微小粒子からの光散乱であるRayleigh-Mie散乱の理論を固体にも用いて、強誘電的微小領域の成長過程を探る研究を行っています。
(Ferroelectrics416, 66 (2011), EPL94, 57001(2011), Ferroelectrics441, 67(2012).)
その他の研究テーマ
- Raman散乱分光によるCo酸化物の電荷、スピン、軌道秩序の研究
- 新型強誘電体(Sna Sr1-a)(SnbTi1-b)O3セラミックスの格子振動モードの解析(産学連携研究)